"おいない"の京都最新情報

[京 の 季 節 の 花 だ よ り] 

 ★南区の市上下水道局鳥羽水環境保全センターで恒例の一般公開が始まり、名物のフジの花を楽しむ来場者でにぎわっている。
同局がフジの季節に合わせて毎年公開している。九七五平方メートルに三品種三十七本が植えられ、市民から「鳥羽の藤」として親しまれている。
全長一二〇メートルに及ぶフジ棚は、満開を迎えた花が紫色のカーテンとなって彩り、外国人観光客がスマートフォンで盛んに写真を撮る姿が見られた。
一般公開は来月一日まで、午前一〇時~午後四時。無料。 

    【今日の情報 : 歳時記・催し・話題・出来事】
 
 ★「壬生さんのカンデンデン」の愛称で知られる国の重要無形民俗文化財壬生狂言」の春の公開が二十九日、中京区の壬生寺で始まった。
『ガンデンガン』の囃子に合わせて演じられる軽妙な無言劇・壬生狂言は、鎌倉時代壬生寺を興隆させた円覚が、民衆に仏の教えを身振りで伝えたのが始まりとされる。
七百年の伝統を伝え、重要無形文化財の指定を受けて、三十曲を受け継いでいる。

素焼きの皿を豪快に割る「炮烙割(ほうらくわり)」など五演目が上演され、一時は雷雨に見舞われた不安定な天候の下、集まった四四〇人の観客を沸かせた。
「壬生大念仏会」に上演される最初の演目は、太鼓屋が炮烙売りとけんかし、厄除けの炮烙を割るという「炮烙割」。
炮烙割は、市場の出店順を巡る太鼓売りと炮烙売りとの争いを描いて因果応報を伝える演目。鉦(かね)と太鼓、笛の音に合わせ、仮面を付けた演者がユーモラスな所作で笑いを誘った。太鼓売りが高さ約三メートルの舞台から約一一〇〇枚の炮烙を落とすと、大きな拍手が湧き起こった。
最後に、節分の日に家族の年齢や性別を墨書きして奉納された千枚以上の炮烙が舞台の上から落とされる
これが見事に割れると、災いから逃れ福を招くといわれている。
壬生狂言鎌倉時代の一三〇〇年、壬生寺の中興の租・円覚上人が、声が届かないほど大勢集まった群衆に身ぶり手ぶりで仏の教えを説くために始まったと伝わる。
五月五日まで。炮烙割は連日午後一時からの初番。有料。
大人 八〇〇円、中高生 六〇〇円、小学生 四〇〇円。 
※ 二月、十月にも催される。

 ★ゴールデンウイークがスタートし、京都の社寺は大勢の人でにぎわった。伏見区の城南宮では、平安貴族の歌遊びを再現する「曲水の宴」が催された。庭園では、酒杯が流れる小川のほとりで和歌を詠む前に雨が降り出し、途中から神楽殿に会場を移して行われた
曲水の宴は、古代中国に始まり、日本では奈良時代から平安中期にかけて宮中の年中行事として催された。城南宮は毎年春と秋に行っている。
今春の歌題は、見頃を迎えた城南宮のフジにちなんで「藤花久匂(ふぢのはな ひさしくにほふ)」。公卿や女官の装束をまとった六人の歌人に歌題が示された後にあいにくの雨となり、小川がある庭園から神楽殿に会場を移した。
神楽殿の表舞台で、白拍子の舞が披露された後、歌人が短冊にしたためた和歌を神職が詠み上げ、参拝者は静かに聞き入っていた。

 ★長年使ってきた畳に感謝しようと、全国畳産業振興会が二十九日、日本唯一の「畳供養」がおこなわれる畳寺の畳まつり』が、「浄土宗大本山 清浄華院で開催される。
畳職人や山伏が見守る中、古畳を組んだ護摩壇で、市民が畳の思い出をつづった手紙やござが焚(た)き上げられた。
畳の需要が年々減っている中で、「畳と暮らす心」を思い出してもらおうと、二〇一五年から初企画した。畳替えによる新たな需要も喚起したいとする。
この日は、僧侶らによる読経の後、十年以上使用した畳で組まれた護摩壇に、全国から寄せられた約一六〇〇通の思い出の手紙や、畳職人が願いを記した「護摩ござ」が燃やされた。参加した人たちはそれぞれの畳との生活に思いをはせていた。
会場の「浄土宗大本山 清浄華院」は、境内の真ん中に約二〇〇畳の畳が敷かれた「大殿」があることから「畳寺」とも呼ばれ、畳職人が多く訪れる場所である。実際の供養は、浄土宗の伝統的な儀式にのっとり、全国より集められた願いの書かれた古ゴザの「畳の護摩ゴザ」を、古畳で作られた「畳の菰」に入れて幽玄な炎で供養する。開催日の四月二十九日は、原材料のイグサが緑いっぱいに育つとして「畳の日」に制定されている。
今年から「畳供養」以外に、畳の歴史や伝統を体感できるイベントを増やし、『畳寺の畳まつり』へと進化。畳職人による「手縫い製作」の披露のほか、カラフルな畳などの「畳珍百景」コーナーも登場する。また、まつりの日限定で「大殿」の畳のイメージと、「畳寺」の文字を合わせた特別なデザインの御朱印もいただける。入場は無料。