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★江戸後期の大名茶人松平不昧(ふまい)の二百回忌を前に、ゆかりの深い北区の大徳寺孤篷庵(こほうあん)で、不昧の茶室の再建が進められている。不昧が最晩年に建てた茶室で、古図をもとに往時の面影をたどる。来年四月の茶室披(びら)きを目指している。
同庵は、江戸前期の大名茶人小堀遠州が建て、隠居所とした。江戸中期に焼失したが、遠州を崇敬する不昧が再建。さらに自らの京都での菩提所(ぼだいしょ)とするため、同庵西側に大圓庵(だいえんあん)を構えた。仏間だけでなく、広間や小間の茶室を備え、不昧の好みを凝らした空間だったという。一八一七年一月、席披きの茶会をしたが、翌年亡くなった。五十二年春、失火で焼失し、位牌所(いはいじょ)だけは復興したが、茶室は再建されず、古図に残るだけだった。
来春、不昧の二百回忌を迎えるにあたり、孤篷庵の住職らが茶室の復興を計画。有志に呼びかけ、同庵や不昧の地元の松江市に残る古図をもとに、ほぼ元の場所に、二畳と三畳の小間、八畳の広間を再建することになった。
八畳の広間は、点前座の網代天井に杉の大板を斜めに張ったり、風炉先(ふろさき)が国宝の茶室如庵(じょあん)(愛知県)のような構えになっている独特の造りを再現。孤篷庵に残る遠州時代のヒノキ材も茶室周りの縁側の天井や床板に使う。現代の新技術と在来的な造りを合わせ、数百年残る建物にする。
監修にあたった中村昌生・京都工芸繊維大名誉教授は「従来の茶室の決まりに従いながら、それを破るようなことをしている。不昧の最晩年の、自らの茶の境地を表現した重要な茶室の再現だ」と意義づける。
今後、命日の四月二十四日に、法要を兼ねた大圓庵茶会を開いていく